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笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



遅刻した挙げ句、部活にも遅れたせいでペナルティの部室の掃除を終えた時にはゆうに電車2本を逃してしまっていた。



今日はバイトの日。



いくらなんでも今からなんて迷惑になるだろう、とスマホを手にした時だった。



薄暗い中、校門に佇む人影が見えた。



誰だろ?と距離を詰めていくとその人影に見覚えがあることに気づく。



あと少し、って時にその人影が振り向く。



智「さ、櫻井さん!!」


「どうしたの?こんなとこまで来て?」


智「迷惑でしたか?」



悲しそうに目を伏せる肩に手を置いた。



智「この間櫻井さんに教えてもらった問題が出来たから少しでも早く見せたくて…」


「そっか…でも、ここじゃちょっと暗くて見辛いよな?」



ファミレスにでも行くか?と、



ここからは少し遠かったけどファミレスに向かった。



「ご家族は知ってるの?君がここに来たこと?」



大野くんはふるふると首を振った。



「送ってくよ?」



大野くんのグラスが空になっているのを見て伝票を手に取った。



ファミレスを出てからも俺はずっと申し訳なさそうについてくる大野くんのことが気になって、時折足を止めた。



そしてそれを繰り返すこと数回。



大野くんが小さな声で俺の名前を呼んだ。



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