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笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



智side



ファミレスを出たところで櫻井さんを呼び止めた。



こんなところにまで来てやっぱり迷惑だったかも知れない、



一言謝っておこうと思った。



振り向いた櫻井さんは笑顔だった。



僕はこの笑顔を見るととても落ち着く。



それはこの間まで。



今は、その笑顔を見るとスゴくドキドキするんだ……。



翔「どうしたの?」


「櫻井さん、来年、受験ですよね?」


翔「ん?あ、ああ、そう……だね?」



少し怪訝な顔をしたけど怒ってはいないみたいでホッとした。



「勉強、大変ですよね?」


翔「んー?まあ、今よりはそうなるかな?」


「うちのお母さんも言ってたけど、いずれ…」



『……やめちゃうんですか?』



そう、言いかけて言葉を呑み込んだ。



『そうなるね?』って、



言われたら僕は…



僕は笑って、『ですよね?』って、答えなきゃなんないのかな?



笑えるのかな?もし、そうなったら…



立ち止まって、俯いたまま足元を見ていたら、いつの間にか向かい合うようにしている誰かしらの足先が見えた。



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