笑い、滴り、装い、眠る。
第16章 a little guy
「な…んか、あっという間に静かになったね?」
智「は、はい…。」
あの3人がいた時は、それはそれで鬱陶しかったけど、
いなくなったらいなくなったで今度は…
……気まずい。
「え…っと……どこからだっけ?」
智「あっ!!えっ…と…確か…」
焦って広げた問題集の角に当たったシャープペンシルが机から落ちた。
智「あっ…す、すいませ……」
落下物に伸ばされた俺らの手が、
空で重なってしまう。
「あっ!?ごっ…ゴメン!!」
智「そっ…こ、こちらこそっ!」
慌てて引っ込めるも、
俺は机の脚に手をぶつけてしまい、間抜けな声を上げてしまった。
智「だ、大丈夫ですか?」
「平気平気。」
……大分痛かったが。
でも……
智「あの…」
「えっ!?あっ!?な、何?」
智「結構痛かったですよね?」
「い、いや…そ、そんなことは…」
智「……赤くなってる。」
「えっ……?」
俺は条件反射的に、両手の平で頬を包み込んだ。
そう言えば……顔が…顔が熱い。
「い…いや…大野くん、これは…」
智「手、冷やした方がいいですよ?僕、冷たいタオル持ってきます。」
「手?あっ…ああ…そ、そっか。」
赤くなってる、って…手のことか?
今になってぶつけた箇所がひりひりしてきた。
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