笑い、滴り、装い、眠る。
第16章 a little guy
こうして受験までの約一年間、俺は年頃の男子としての本能?と戦いつつ、
いよいよ受験の日を迎えた。
一緒に来てほしい、と、あの小動物さながらの、小さな目をうるうるさせながら懇願する大野くんの執念に根負けし、
試験会場へ付き添うことにした。
なーんて。ホントは少しでも長く一緒にいたいなあ、と、思ったのは本人にはオフレコだ。
智「あの…櫻井さん?」
「ん?」
智「今日、って、何か予定あります?」
「いや…ないけど?」
こんな大事な日に、他に予定なんて入れるわけないだろ?
……大野くんが試験を受けてる時に、松本と暇潰しにメシに行こうとしている以外は?
智「実は行きたいところがあって…」
大野くんを試験会場に送り届け、待ち合わせ場所のイタ飯屋に向かう。
松本は少し不機嫌そうに俺を見ると、それまで持っていたスマホをポケットにしまった。
「ごめん、待たせちゃって?」
潤「高いぞ?」
「悪い悪い。ここは奢るから?」
潤「じゃ、遠慮なくおごってもらおうかな?」
「高いものはだめだからな?」
潤「デート代がなくなるからか?」
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