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笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



海は日差しが少し陰ってきてたこともあり、少し肌寒かった。



かっこつけてないで水族館にしておけばよかった、と後悔したが思いの外、大野くんがまんざらでもなさそうだったのでよしとした。



智「ちょっと風が強いですね?」


「……そうだね?」



向けられる柔らかい笑顔に漫ろになる気持ちを紛らすように寄せ返す波に目を向ける。



不思議なもので、



しばらく波の音に聞き入っていたら気持ちが落ちついてきて、



少し寒そうに体を竦めている大野くんに気づいた。



俺はコートを脱ぎ大野くんの体に掛けた。



「羽織ってていいよ?」


智「でも…そんなことしたら櫻井さんが……」


「んー、じゃあ…こうしようか?」



俺は大野くんの肩に掛けたコートをふわりと持ち上げ、



肩を並べるように隣に滑り込み、その体を抱き寄せた。



「ね?これで俺も寒くないでしょ?」



大野くんは驚いた顔で俺を見たあと、顔を赤くして俯き、小さく頷いた。



「は……はい。」



あとになって何だかこういう状況に手馴れてる感がして、自分でもどうか、って思ったけど、



俺も照れを隠すのに必死だったんだ。



「もっとくっついていいよ?」



体を強ばらせ、離れようとする体を強く引き寄せる。



「風邪なんか引いたら、ディズニーランドデート、楽しめないじゃん?」



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