笑い、滴り、装い、眠る。
第16章 a little guy
熱で頭がぼーっとして、この時の記憶がひどく曖昧なのは残念だったが、
大野くんが一匙一匙を息を吹きかけ冷ましながら食べさせてくれたらしい。
松本にやれ、って、けしかけられたらしいけど。
智「もう、ディズニーランド一緒に行けないかと思って必死で看病したんだからね?」
熱が下がった俺を見、ぼろぼろ泣き出す大野くんがあまりにもいじらしくて、思わず抱きしめてしまった。
元気を取り戻した俺は、約束どおり大野くんとディズニーランドデートを楽しんだ。
そんな俺の毎日は充実している…
そう思っていた。
そんなある日、俺は避けては通れない現実と向き合うことになる。
潤「なあ、櫻井。おまえ、大野くんとはもうヤった?」
「は、はあっ?」
松本はしれっとした顔で缶チューハイに口をつけ呆れたように笑った。
潤「お前さあ…大野くんと付き合ってんだろ?」
「まあ…そのつもりでは……ある…けど。」
潤「じゃあ、ヤることヤったんだろ?」
「……いや、まだ。」
潤「は?」
「まだ……です。」
松本がチューハイをゴクゴクとゆっくり時間をかけて飲み干し、はー、と息を吐き、ボソッと言った。
潤「なんだ…まだだったのか……」
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