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笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



智くんはビクッと肩を震わせ俺を見た。



俺はそれを見てハッとして慌てて手を引っ込め謝った。



やっちまったな…



きっと、俺の一挙手一投足、警戒されるんだろうな?



しばらく続く静寂の時間に俺は居たたまれなくなり、智くんに一言断ってからベランダに出た。



さてどうしようか?と、ぼんやり景色を眺めていたら一瞬、風の向きが変わって、



智くんが俺の隣に立った。



智「また風邪引くよ?」



智くんがフワッと微笑みながら大きく伸びをした。



智「うわあ…ここいい眺め。」



ニコニコしながら頬杖をつく姿は、



先程の俺の行為なんかまるで気にしている様子もなく、



むしろ、そのお陰で何か吹っ切れたみたいにリラックスしているようにも見えた。



智「ね…夜景とかも綺麗なの?」


「へ?あっ!!まあ…。」


智「へぇ…」



黙ったままずっと景色を見ていたが、



ぽつり、こんなことを口にした。



智「……泊まっちゃおうかな?」



……え?



聞き間違いか?今、泊まる、って……。



智「ね、いいよね?」


「あ…う、うん…。」


智「あ、でも…着替えとか持ってきてない……。」


「か…貸すよ?うん。」


智「じゃあ…家に電話するね?」

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