笑い、滴り、装い、眠る。
第16章 a little guy
その日の夕食は外で済ませ、明日の朝食用にと簡単な食材をコンビニで購入し、家路についた。
隣で嬉しそうに鼻唄を歌っている智くんに俺の頬は緩みっぱなし。
べ、別に疚しいことなんて考えて―
―なくもないけど。
松本からもらった例のものが頭を過る。
いつも持ち歩いている訳じゃないけど、
頭の片隅にはそれはいつもあった。
まあ…他にも必要なものはあるけど…
だから、さっき、智くんに気づかれないようにこっそりそれらを買い物かごに入れた。
甘い物好きの智くんがスイーツに目を奪われている隙に。
「お風呂、先に入る?」
嬉しそうに、さっそくコンビニスイーツにかぶり付く智くんに声をかけた。
智「あとでいい。これ、食べたいから?」
「……分かった。」
先に入るとはいえ、あまり待たせることになっても申し訳ないと思い、シャワーだけですませた。
髪を拭きながらリビングにいるはずの智くんの姿を探し回った。
すると、ベランダの窓にかかったカーテンがゆらゆら揺れていることに気付いた。
窓の外を覗き込むと、そこには丸い大きな月に見いっている智くんの背中があった。
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