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笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



大野くんがシャワーを浴びたい、と言うので待っている間、俺は同性同士のイトナミのなんたるかをスマホでおさらいした。



緊張する…。



緊張し過ぎて、スマホの文字が頭に入ってこない。



……まあ、何度も見てるからそらで暗唱出来る程にはなってるけど?



智「そんな真剣になに見てるの?」


「うわっ!!」



いつの間にかバスルームから出てきた智くんが目の前で俺のスマホを覗き込んでいた。



「いやっ!!ち、ちょっと…勉強?」


智「ふーん。大学、って大変なんだね?」



パジャマ姿で頬杖を付きながら智くんが笑った。



その笑顔はいつも俺に向けられる笑顔だったはずなのに、



お風呂上がりで、濡れた髪のままで、



いつもなら少し浅黒い感じのする頬も上気してほんのりピンク。



そんな智くんの頬に手を伸ばしてそっと撫でた。



不思議そうに見上げる目が濡れた前髪の間でゆらゆらと揺れた。



智「翔……くん?」



マニュアルがなんだ?



俺らが幸せな気持ちになれればそれでいいんじゃないか?



俺はそのまま智くんの顔を上向け唇にキスをした。



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