笑い、滴り、装い、眠る。
第7章 雨の日は家にいて
毎朝の習慣になっていた寝起きの悪い潤を起こすのも、何故だか出来なくなってしまって、
潤の家の玄関で起きて出てくるのを待つようになった。
いつもなら、潤のご両親に断ってから潤の部屋に駆け込んでいたのに、それすら出来なくなって、
逆にご両親に心配されてしまった。
「智くん、具合でも悪いの?」って?
そしてこの日も、
潤の家の玄関で潤を待っていたら、潤は寝坊することなくちゃんと起きてきてくれた。
潤「おはよ。」
「お…はよ。」
顔も見ずに歩き出す僕を潤は追いかけるように小走りで走りより僕の隣に並んだ。
潤「楽しかったな?智のじいちゃんちに行った時。」
「そっ…そうだね?」
あの時の話題に触れられるのか、と思って、体が俄に緊張した。
潤「あの…今度の休みにさ…どっか行かね?」
「どっ…どこか、って?」
潤「釣り…とか…?」
「釣り?」
潤「好きなんだろ?俺もやるし?」
「うん。」
潤「じゃ、決まりな?」
笑った潤の、寝癖のついた髪に思わず吹き出してしまう。
潤「あっ!?今、笑ったろ?」
「だって…寝癖…」
笑いを堪える僕の肩を掴むと、
潤は僕のおでこに唇を押し当て恥ずかしそうに笑った。
お仕置きな?って。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える