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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



スマホを確認すると、櫻井くんからLINEが。



『今からそちらに伺ってもいいですか?』



…どうせ今からお茶しようと思ってたし。



彼の申し出を快く引き受けた途端、家の呼び鈴がなった。



慌てて玄関へ走ると、そこには髪から垂れる滴を払う若い男性の姿があった。



「さ、櫻井…くん?」



僕の声に、櫻井くんが安心したように振り返る。



翔「助かりました。すぐそこまで来てたんだけど、傘、持ってきてなくて…」



おまけに、雨男なんですよ?なんて、



晴れやかな顔で笑うからつい笑ってしまった。



翔「…やっぱ、笑うよなぁ。」


「ごめんなさい。」



ふと、自分に向けられた櫻井くんの視線に気付き、笑いが止まってしまう。



翔「手…」


「え…?」


翔「こんなこと言うと失礼かも知んないけど、女の人みたいな手、してるんですね?」


「あ…ああ、よく言われるんですよ?」



口許に当てていた手を慌てて後ろに隠した。



翔「もの作りしてるから、もっとそれらしい、ゴツゴツした手してるのかと思ってた。」



ニコッ、と笑う彼に、



あの日の「彼」の面影が重なる。



確か…そんなこと言われたこともあったな…





潤「智の手って、女の子みたい、って言われない?」


「何で?」


潤「指が長くて細くてキレイだから。」



それ、褒めてるように聞こえないんだけど?



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