笑い、滴り、装い、眠る。
第7章 雨の日は家にいて
それからというもの、
雨の日は僕も櫻井くん同様、スマホを片時も離さずに作業するようになり、
櫻井くんがいつ家に来てもいいようにお茶やお茶菓子は用意していた。
でも、雨の時期には珍しく、ここ二、三日は晴れの日が続いていて、
浮かない顔でコンビニなんかに行ったりすると、相葉くんが無用な心配をしてくれた。
「働きすぎなんじゃない?」って。
そうじゃないんだけどな?
でも、
雅「に、しても大野さん、なんか最近肌つやよくない?」
「えっ?そ、そう?」
雅「まるで恋してるみたいな…」
「ま、まさか…」
雅「あっ!!でも、女の子じゃないんだからそれはおかしいか?…あ、分かった!一万円拾ったとか?」
「んふふ。どうだろうね?」
雅「当たり?ね、当たりでしょ?」
「だとしても奢らないよ?ちゃんと交番に届けるから?」
じゃ、と、笑顔で手を振りながらコンビニを出た。
一つ、ため息をつき空を見上げる。
雲一つない、この時期には珍しい青い空。
雨…降らないかな?
そうすれば…
…って、何期待してんだか。
鍔が大きめのキャップを目深に被り直し、元来た道を歩き出す。
今から取っ掛かる仕事は、どうしても櫻井くんに見てほしかった。
何故なら、
彼から依頼されたものに取りかかる予定だったから。
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