笑い、滴り、装い、眠る。
第7章 雨の日は家にいて
電話を持つ手が震える。
潤『ごめん…突然電話して。迷惑だった?』
「ううん。いいけど…どうしたの?」
何気に窓の方を見ると、いつの間にか激しい雨が叩きつけていた。
潤『声が…聞きたくなって…』
懐かしい声が、甘い痛みを伴ってぎゅっと胸を締め付けてくる。
「そう…」
携帯を持ちかえ耳に当てる。
その時だった。
窓の外を人影が横切る。
もしかして…
携帯を耳に当てたまま玄関のドアを開ける。
その音に気づいて、広い背中のその人がこちらを振り返る。
櫻井くん…?
彼は瞬間、嬉しそうな顔をしたものの、僕が電話中と知るや表情に困惑の色が混ざる。
潤『どうした?』
「ごめん、ちょっと待ってて?」
潤に断ってから、櫻井くんを中へと招き入れる。
タオルで体を拭く彼を気にしながら僕は携帯を耳に当てた。
「お待たせ。」
潤『実は今、日本に来てるんだ。』
「え…?」
潤『でも、明日の夜にはもう帰らなきゃなんなくて…だから…
今から会えないかな?と思って?』
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