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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



今から…



頭からタオルを被る櫻井くんをちらと見やった。



潤『実はすぐ近くまで来てて…ダメならこのまま…』



会いたい…



瞬間、こちらを振り向いた櫻井くんと目があった。



潤『智?』


「ごめん…無理…かな?」



今は……



潤『そっか…』



でももし…今じゃなかったら僕は…



「潤。」



…会いに行ったかな?



潤『ん?』


「勉強、頑張って。早く一人前になって?」



潤『智も…って、半人前の俺が言えた義理じゃないか?』


「…かもしんない。」


潤『あ、言ったな?今に見てろよ?世界を股にかけるような演出家になってやっから?』


「ふふっ。楽しみにしてるよ?」


潤『智。』


「なに?」


潤『今さら待っててくれ、って言ってもダメなんだよな?』


「だって…重いでしょ?そんなの?」


潤「んなことねぇよ?」


「僕がヤなんだよ。」



電話口で聞こえる小さな溜め息。



潤「…ったく、相変わらず頑固だな?」


「でも、この場所は有りがたく頂いたじゃない?」


潤『当然だろ?それぐらいはしないと…』


「潤がお金出してる訳じゃないじゃん?」


潤『出世払いするんだから俺が出してるようなもんだって?』



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