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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



翔「着替え、どこにあるか教えてもらったら、俺、持ってきます。」


「平気。そこまでじゃないし。」


翔「じゃあ、タオルを…」


結局、櫻井くんにお願いして持ってきてもらった。



「ありがとう。」


翔「…いえ。」



頭からタオルを被っているのに、ナゼか視線を感じる。



翔「あの…電話…」



話しかけられて手が止まる。



翔「大野さんが突然飛び出していったの、って、さっきの電話と関係アリ?」



どんな顔して、どう答えたらいいのか、



タオルを頭から被った状態で考える。



僕にとって、櫻井くんは友だち、という程でもなく、顔見知りという間柄でもでない。



僕が一方的に気にかけてるだけだし。



「そうだよ?」



頭を覆い隠すように被っていたタオルを外して櫻井くんを見る。



翔「恋人とか…って、そんなドラマみたいなことじゃないか…?」



声高らかに笑って誤魔化す櫻井くんにそうだ、と言えなくて、僕も笑って誤魔化す。



翔「でも…」



突然、真顔になり視線が僕の手に注がれ、その手が僕よりも少し大きな手のひらの中に包まれる。



翔「好きな人だったんじゃないかな?…って。」



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