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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



先日、突然追い返してしまったことを謝らなければ、と、いう気持ちもあって



櫻井くんのオーダーが仕上がったことに乗じて、櫻井くんにLINEを通して連絡した。



案の定、櫻井くんはすぐに返してきた。



『授業が終わったら行きます。』と。



でも、僕は二組のストラップのうち、『K』のイニシャルを施した方を、複雑な気持ちを引きずったままプレゼント用の箱に納めた。



翔「すいません、遅くなって?」


「別にいいよ?櫻井くんは大切なお客様だし?」



櫻井くんが姿を見せたのは日が落ちかけた頃。



あまり遅くなると申し訳ない、と思ったのか、



櫻井くんは汗だくだった。



「そんなに慌てなくても良かったのに?」


翔「いや…だってあんまり遅くなると申し訳ない、と思って?」


「そんなこと、気にしなくてもいいのに…」


翔「でも…」



櫻井くんは笑う僕を上目でちら、と見ながら汗を拭った。



翔「怒ってたでしょ?」


「え?あ、ああ…この間のこと?ごめんその…ちょっと疲れてて…」



濁しながら、プレゼント用の小さな箱に収まったストラップを見せた。



「こんな感じに仕上がったんだけど?」



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