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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



急ぎの仕事も無事終え、たまにはゆっくり外食でも、と、作業場を片付けていた時、急に時間が空いたからと、翔くんから食事のお誘いがきた。



なんてタイミングだろう、と、弾む気持ちを押さえながらLINEを返した。


翔「こんなこと、ってあるかなあ?」



飲みに行く約束をしていた友だちにドタキャンされ、



家に帰ったら帰ったで皆出払ってて誰もいない、



よくよく話を聞いたら、



翔「そもそもが、カズのやつ、今日から友だちとキャンプに行く、とか言ってさ…」



普段はインドアのクセに、と翔くんは肩を落とした。



「まあまあ、そういうことが偶々重なっちゃった、てことで。」



ちびちびとレモンサワーを口に運んでは大きなため息をつく翔くんの頭をヨシヨシと撫でた。



翔「やっぱ、俺の回りにいるヤツの中では、大野さんが一番優しいよ。こんな俺に付き合ってくれるんだし?」


「そんなことないよ?僕も偶々外食しようと思ってただけだし?」


翔「そんなことあるよ。やっぱ、優しいんだって、大野さんは?」


「………。」



優しくなんかないよ、僕は…



優しくなんか……。



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