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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



「ほら、しっかりして翔くん?」



立てる?と、いつも以上に飲みすぎて足元が覚束無い翔くんを部屋の前までなんとか抱えてくる。



「鍵は?」


翔「んー?どーこだっけかなあ?」



あったあった、とか言いながら、ジーンズのポケットから鍵を出してくれた。



部屋の鍵を開け、翔くんの体を抱え直す。



泥酔している上、自分より体格のいい翔くんは中々の重さで、



おおよそ力仕事とは無縁だった僕にとっては中々の重労働だった。



その翔くんをどうにかリビングにまで運びいれ、ソファーの上に寝かせた。



「えっと…シーツか何か」



立ち上がろうとした時、何か強い力に腕を引っ張られてよろめく。



翔「カズ……」



寝惚けてるのか。



捕まれた腕をほどこうともう片方の手を伸ばすと、今度はそちらも掴まれて、仰向けに寝転がる翔くんの体の上に倒れ込んでしまった。



「あ……」


翔「カズ…」


「違っ…僕は……」



翔くんの大きな手のひらが僕の頬に添えられ、引き寄せられる。



「待っ…翔く……!」







翔くんは、



僕を「カズくん」と間違えたまま、



キスしてきた。



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