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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



どうにかして翔くんの腕の中から逃れようと藻掻がく。



でも、唇を塞がれているという息苦しさから段々と体力を奪われていったのと、



このまま「カズくん」と間違われたまま抱かれてしまってもいいんじゃないか、と思い始めていた。



反面、翔くんが酔いから覚めた時、



勢いに任せて抱いた相手が僕だ、って気づいたら、




「んっ……ふ…ん…」



翔くんはどう思うだろうか。



そんな僕の小さな葛藤をよそに、口内に入ってきた翔くんの舌が僕の舌を絡め取り吸い上げる。



「っん…ぅっ…」



舌同士絡まり合う卑猥な音が鼓膜を通して僕を頭の芯から侵食していって、抵抗する力を奪ってゆく。



もう…いいや。



「カズくん」の代わりでもなんでも。



やがてスイッチの入った翔くんが覆い被さってきて、僕の体のそこかしこにキスをおとしてゆく。



「ぁ……っ」



シャツの中に滑り込んできた手に脇腹を撫でられ声が漏れる。



声を出したら「カズくん」じゃない、って分かってしまう。



でも、翔くんの手が僕の胸の突起をするりと撫で、


咄嗟に口元を覆った手の隙間からくぐもった声が漏れてしまった。



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