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赤い糸

第13章 With you


冷たい唇が私の額にそっと口づけるとそのままゆっくりと押し倒された。

「璃子…」

その唇は私の名前を呼びながら 瞼に頬に鼻先に火照った私の顔を冷ますように這わされていく。

「怖いか?」

「…少し。」

まるで宝物を触るように私を抱きしめてくれているのに怖いなんて

でも、嘘はつきたくないって思った。

今の気持ちを全部吐き出して、それをまるごと愛されたい…なんてワガママかな?

光の届かない部屋で瞳を覗き込むと京介さんは目を細めて

「これ以上キスをすると止められる自信がないんだけど…いい?」

さっき二人ではめた指輪にキスを落としながら聞いてくれた。

断る理由なんてない。

だって私はあなたとの記憶が少ししかなくても

「…抱いてください。」

抱かれるって決めてたから。

*

抱いてくださいか…

現実を突き付けられた気がした。

俺が抱き潰していた頃の璃子とは明らかに違う。

コイツから誘われたは一度や二度はあったけど、こんなに優しく微笑みながら…なんてなかったから。

「でも…」

「ん?」

「久しぶりみたいなので…優しくしてください。」

やっぱり変わってねぇか。

自分の足でしっかり歩き始めたから勇気という武器を兼ね備えたんだな。

「あぁ、甘々に優しくしてやるよ。」

少しだけ緊張がほぐれた璃子の唇に軽いキスを落とし微笑み合う。

…涙が出そうだった。

抱けるからじゃなくて璃子が俺を受け入れてくれたんだって実感したから。

「京介さん…」

璃子の華奢な腕が俺の首に巻き付くと

「璃子…」

それが合図となって啄むようなキスを交わした。

*

軽く触れるだけのキスが徐々に熱を帯びてくる。

息を吸うために唇を開けば

「…んぅ…」

彼の長い舌が割り入れられ私の舌を探しだす。

逃げたって敵わないのはさっき学んだこと。

だから その舌に応えるように舌を伸ばした。

*

あんなに教え込んだのに

「もっと、べろ。」

キスが下手になっていた。

また一から教え込むしかねぇか…

「もっと、ベェーって。」

「ベェー…んぅ…」

赤い舌が伸ばされると不思議だな…それも悪くはないと思い始める。

俺しか知らないこの体に

「ほら、もっと。」

もう一度俺を刻み込む。

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