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路地裏酒場の占い師

第1章 あ、忘れてた!「お題小説参加作品」(ここに書くな!)

 私の名前は、水龍謎孔(すいりゅうめいこう)。とりあえず、それは占い師としての源氏名。本名は中野多恵子。43歳

 賑やかな表通りとは違い、小便とゲロの香りがただよう、裏通りの路地にその店があるの。

 道が狭いため、看板が置けないから、扉の上の方に小さな看板で「スナック夢」と書いてある。

 さっきはおかしな相談だったわね。つまり、あのお兄さん、パイロットの意味が、わからなかったんじゃないのかしら。

 まだ、午後8時。次は誰がくるかしら? 今日は、飲みに来るお客さまは、まだ来ない。寂しいわね。

『チリーンチリーンチリン』

 扉にかけている風鈴が鳴った。

 お客さまだわ。

「こんばんは……開いてますか?」

 あら? 女性のお客さまだわ。

 この店、あまり女性一人のお客さまは来ないの。

 て、ことは、占いね。

 身長は150センチあるかしら? わりと小柄よね。

 髪はツインテールにまとめて、頭にはウサギの耳のカチューシャ。水玉ピンクのフリフリのワンピース。こんな娘、一人でうちらの路地に来たら危ないわ。いつ、ハイエナ男が群れをなして近寄ってくるかもわからない。

 早くすまして、帰らせてあげましょう。

「いらっしゃいませ。ひょっとして、占いかしら?」

「はぁ~い、そうでぇ~~す。ワクワク、ワクワク」

 なに、こいつ?

 なんか、鼻につくキャラよね。

「……とりあえずここに座って」

「は~い、ウサギがぴょん、ウサギがぴょん」

 ぶち殺してもいいのかしら?


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