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「おはようございます」

エレベーターを降りてから部署に入ると同時に、何人かいた仕事仲間に挨拶を投げかけると、あちこちからおはようなんて気怠そうに返事が返ってきた。やはりみんな休日出勤は嫌なんだな、なんてほぼ当たり前のことを考えていると、

「おはようございます〜。みんなテンション低いですね」

なんて苦笑いしながら、私の想い人が出社してきた。

私が勝手にフラレたものの、やはりどこか気まずさから、顔を見れなかった。後ろめたさがあるとでもいうのだろうか。自虐めいたものを感じながらExcelを立ち上げる。

「おはよ、高城」

「…おはようございます、本田先輩」

…そう、彼は、本田悠太という男は、仮にも先輩なのだ。そこそこ気を許された私は、プライベートではタメ口にしてくれという本人の意向で、2人きりのときだけなら、と砕いた口調で話しているだけだ。今は会社。いつまでも金曜の夜の気持ちではいられない。酔えない女は、先輩は欲していないのだ。