テキストサイズ

無表情の宇野くん

第81章 五味さんと旅館の夜②。

早くしろよ俺らを待たせるなと、これ待ちだった人も多いのではないか、旅館ですることの二つ目、つまりは入浴のお時間です。


入浴は宿泊班ごとに三十分交代制で順番に入るそう。私としては三時間くらい身体の洗いっこならぬお胸の洗いっこでもしたかったのだけれども、まあ、それは旅館の都合上仕方がないだろう。


戦場ヶ原さん羨ましい。


私たちは同年代の女の子に自分の裸体を見られるという緊張感の中、浴室へ向かった。


男性はどうなのか知らないが、女性は結構、自分の裸を、例え同性だろうと同棲してようと、見られるのは恥ずかしいものなのだ。自分の身体にコンプレックスを持っている人が大半だろうし、そうでなくとも見られることは恥ずかしい。まあ、色んな趣味の人がいるから、皆がそうとは言わないが。


さて。


女湯の脱衣所は甘い香りが漂っていて、もしも私が男子ならばこの場で失神、悪ければ死んでしまうくらいだ。偶にいる香水臭い二十代くらいのお姉さんと違って、純粋な甘い匂いは、とてもいい匂いである。甘い匂いと言っても、スウィーツみたいな匂いがするわけじゃないけれど(シャンプーでそういう匂いのは確かにあるけど)。


まあ、変態的なことを考えつつも、私は服を脱ぎ出した。


私たちの学校はセーラー服なのだが、セーラー服だからこそ、逆にブレザーに憧れる。みんなセーラー服の方が可愛いというけれども、それはひょっとして、自分が可愛くないのは制服のせいですよ、みたいな僻みなのか。もしくは、ただ見た目の憧れだけで言っているのか。結構大変なんだぞ、肌見えたりして。厚手に見えるかもしれないけれども、薄いんだから、下着つけなかったら、下手したらおっぱい見えちゃうぞ。


セーラー服のリボンをしゅるしゅると取り、ファスナーを開けて、上から引っ張り上げて上着を脱いだ。ちなみにこれ、自分だと感じないけれども、女子がセーラー服を脱いだ瞬間に髪の毛がファサッとなるのが好き。


さておき。


スカートを腰から降ろし、シャツも脱いで、ブラのホックを外し、パンツを降ろす。


先に入っていった五味さんを追っていく形で、私は浴室の中へと、勇気を出すような場面ではないけれども、踏み出した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ