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無表情の宇野くん

第94章 修学旅行の思い出。

すこし、修学旅行について振り返ろうと思います。


語りすぎた一日目と変わって、あまり語らなかった二日目の旅館での出来事ですが、実はそれは語ろうにも語れない事情がありました。


それは、女子トークに花を咲かせていた私たちがテンション上がって、十一時頃に起きて、また枕投げしようと電気を点けた時。


五味さんが思い出したようにこんな話をした。


「お兄ちゃんが言ってたんだけど、修学旅行の旅館のテレビの裏とか、掛け軸の裏にはお札があるんだって」


なんで今そんなことを言うのかが分からないタイミングの発言。


振り返れば、テレビも掛け軸も、どこか不気味な感じがしてどうしようもない。


私たちは少し怖くなって、しかし真相を突き詰めないことには眠れまいと、まずは掛け軸から捲っていきました。


掛け軸の裏にはお札なんてなかった。


次にテレビを動かして裏を見てみた。


お札はなかった。


しかし市松人形が置いてあった。


それから班員全員は無言で布団を被って眠りについた。


その時、電気を点けっぱなしにして寝たんだけど、私がお手洗いに行こうとした時には真っ暗だったのは、なぜなのだろう。

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