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巡る季節をあなたと

第1章 7月 七夕

sideN

相葉さんと翔くん、めっちゃ目で会話してるじゃん

ちらっと潤くんを見ると、潤くんも気づいているようで「どうする?」と目で訴えられた

そりゃ退散するしかないですよ

相葉さんが翔くんのこと、大好きなの知ってますし

「あ、俺、ちょっと体調が」
「え、ニノ大丈夫?」
「ちょっと帰るわ」
「俺、送るわ」
潤くんが小さく手を挙げた

「ほんと?じゃあ頼むね」
「ニノ、お大事にね」
「ありがとう」

潤くんと店を出て、彼の車にのった

「ニノ、体調実際は?」
「全然へーきです。だって、あんなイチャイチャされて居づらいでしょ」
「だよな」
潤くんが笑ってハンドルに手をかける

「いいよな、好きな人とラブラブって」

あなたくらいイケメンなら、百発百中でしょうが

「ニノって好きな人とかいんの?」

え、何。
潤くんとこういう話、したことないんだけど。

「え、今は別に」

「ほんとに?」

「まあ」

LINEくれる女の子とかいるけど、今は別にかな

別にかなっていうか、あなたが好きなんですけど

相葉さんにしか言ってないけど


「ちょっとさ、ドライブしない?」
「いいですよ」


潤くんが連れてきてくれたのは人気のない展望台だった

「あんま星、見えないね」
潤くん、本気で悲しそう
「いやいや、俺には心の天の川が見えてますよ」
茶化したのに潤くんは笑ってくれなくて、少し恥ずかしくなってきた

「潤くん…」
「ニノと両思いになれますように」

それは唐突で、

唐突に甘い声で彼は呟いたわけで

「潤くん?」

「あ、いや、その…」

冗談じゃないの?
あの松本潤が俺?

「…独り言」

何も答えられなかった

信じられなくて、嬉しすぎて、何も答えられなかった

「帰ろっか」

何事もなかったかのように潤くんにエスコートされて車に乗り込む

黙ったまま、俺の家への道を進んでいく

「着いたよ」

「あの、潤くん。」

「ん?」

「…帰りたくない」

「?」

「ってか離れたくないんですけど」

恥ずかしいから、潤くんみたいにストレートで言えないから、これで察して

潤くんがうなづく

「…じゃあ、あがってっていい?」

低い声
甘い声

「うん」

もう後にはひけない

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