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君がいる風景

第13章 新入り


「翔ちゃん、明日は大丈夫なのか?」

「うん、平気だよ。
明日は午後始まりだしね。
レポートももう仕上げてるから。」

「そっか、なら良かった。」

「智くん、それどうしたの?」

俺の指先の絆創膏を見て訊ねてきたから
さっきオーブンでヤケドしたことを伝えると
バックの中からなにかをごそごそ探しだす。

取り出したのは小さな軟膏

「これ、よく効く塗り薬なんだ
智くんちょっと指先かしてね」

ペロリと剥がされて水ぶくれした箇所に優しい
指遣いで軟膏を塗りこんでくれる。

「ほら、もうこれで大丈夫。
あとはおまじないね、」

唇をとがらせてふうっと吐息をかけながら
痛いの痛いの飛んでけぇ〜〜って
とおい昔に母ちゃんがしてくれてたような真似事。

指先に、唇に、微笑みに、
翔ちゃんの優しさに見惚れて突っ立てると


「智くん?」


動かない俺を不思議そうに見つめてきてる。


今すぐに抱きしめたい!
いや、むしろ押し倒したいくらい

この前深夜に閲覧してた動画サイトが脳裏に
チラついてしまう。
男同士のいわゆるセックスシーン

けど、翔ちゃんは恋愛もだし、付き合いのも
初めてってことでたぶん未経験

この下心がバレたりしたら…


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