君がいる風景
第20章 2階の部屋
小さな隠し事
実はこっそり翔くんのこと描いてるって言うのを
ためらってしまった。
付き合う前からヘンな下心があったのかって
思われるんじゃねえかってつい考えしまう。
「翔ちゃん、この部屋寒くない?」
「ううん、大丈夫。智くんの隣にいると
あったかいよ」
そう言って笑いながらベッドの上に座って
俺の身体にぴたっとくっ付いてくるんだ。
見つめ合うと目を瞑ってくれるからそっと唇に
キスする。
「俺、この部屋でキスしたの…初めてかも」
「……ん…ぁ……ほんと?」
幼少時から人付き合いは得意なほうではなかったし、今でも友達として繋がってるのはほんのわずか。
友達も家に連れてくるほうではなかった。
強いて言えば自転車屋のかずがおふくろさんや
姉ちゃんと一緒によく遊びに来てたくらい。
俺が中学生になる頃にはさすがに来なくなって
しまったが、それまではよく遊びに来ていた。
かあちゃんや姉ちゃんとも仲良かったせいでか、
うちに彼女を連れてくることはほとんどなかった。