君がいる風景
第20章 2階の部屋
「智くんの部屋、すっごく好きだよ。
なんか落ち着くし、眺めもいいし」
「へへ、そうかな。」
「智くんの思い出もいっぱい詰まってるし
これで本があればサイコーかも」
この部屋には本なんてほとんどなくて
美術系の写真集や、資料集くらい
もし、本棚があってたくさん本を置いたら
翔ちゃんがこの部屋を使ってくれる?
この家にずっと通って来てくれる?
翔ちゃんとのシェアハウスの夢物語の妄想が
ちらちらついたので、慌てて打ち消した。
「そろそろ下行って鍋の用意しよっか」
「うんっ」
部屋を出る前にもう一度抱きしめてキスすると
俺のシャツをぎゅっと掴んでくる。
俺と同じシャンプーとボディーソープの香り
2人でおんなじ匂いなのがむちゃくちゃうれしかった。
携帯を手にすると、
画面に着歴とメッセージ
かずからで、今夜の買い出しをするから
なにか欲しいものはあるかって内容。
折り返し電話するすると
遅いよって悪態をつかれたけど、掃除したりして
ばたばたしてたって適当にはぐらかして、
美味いもん買って来いよって言っておく。