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君がいる風景

第3章 歓迎会



うそだろ?!

翔ちゃんの部屋に押しかけて泊まり込んじまったとか有りえねえだろ?
昨日の歓迎会の主役だった櫻井翔の部屋?!

たしかに飲み始めてからは気楽に気さくに
話しかけてはいたけど

やっべぇやっちまった…


ハンガーにかけられてる俺のジャケット
それを引っ掴んで逃げるように
さっさと帰りたいって気持ちで玄関へと向かった。

けど、手書きのメモの意味を考えてみようと
もう一度部屋へと戻ってみることにする。

カギは置いてねえ
もし、このまま俺が帰ったりしたら無用心だ。

二日酔いの薬まで用意してくれてた
翔ちゃんのやさしさと思いやり


「よしっ。男らしく待っててやるか!」


覚悟を決めた。
帰ってみたところでどうせ二度寝を
するくらいで予定もなにも有りゃしないんだ。
ジャケットを脱いで布団に潜り込み直す
天井を見上げながら昨日の歓迎会のことを考えてみた。


歓迎会ではサラダを摘んで唐揚げを一つくらい
刺し身はあまり美味そうに見えなくて手を付けず にいた。

翔ちゃんとの会話は大学二年生だってことと
最寄り駅が同じだってこと
1人暮らしをしてて、恋人はいないが
好きな人はいるってこと

馴れ馴れしく翔ちゃんって呼ぶから俺のことは
智くんって呼べとか酔いに任せて
はちゃめちゃな事を言った気がする。


「ひっでぇからみ酒、松潤とおんなじじゃん」



困ったような翔ちゃんの顔は
すこしはにかみながら智くんって名前を呼んだ時
頬に少し赤みがさして見えたのは酒のせいだろ。


その笑顔は
初めて出逢ったあの時のあの笑顔に見えて
ああもっと描きてぇってなぁって思ったんだ。



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