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君がいる風景

第3章 歓迎会


目蓋を閉じて瞑想してたつもりがいつ間にか
二度寝してたみたいで
カギの開く音で目が覚めた。


「智くんっ!!」

はあはあ息を荒げながら部屋へ入ってきて
俺の名前を呼ぶ声

「………声…でけぇよ……」

「ごっ…ごめん
もう帰っちゃったかなって…考えてたら
玄関に…靴があったから」

両手を太ももに置いて肩で息を切らせながら
話終わってやわらかに破顔する表情
かたや他人の部屋で図々しく布団に潜り込んで
二度寝までしてる。

翔ちゃんと俺
どっちがこの部屋の住人かわからねぇな


のっそり起き上がろうとすると
買い物袋をテーブルに置いてにっこり微笑んだ。

「よかったぁ、薬飲んでくれたんだね」

「あんがとな、
えっと昨日の夜すっげえ酔っ払ってて
櫻井にかなり迷惑かけたみたいでマジで悪かった、ごめんな。」

「ひどいなぁ、智くん。ぜんぶ忘れたの?」

「いや、まあ、所々は…覚えて…」

「櫻井って呼ばない、翔ちゃんって呼ぶからって言ってくれたのは智くんだよ?」

実は鮮明に覚えてたりするんだ
あのときの会話のやり取りは
どうにかきっかけが欲しくて酒の力を借りて
一歩踏み込んだ仲になりたいって思ってた。


それが一夜明けたら
ベッドインしてたみたいな踏み込み過ぎる
この距離感

………まったく酒の力ってやつは恐ぇよ。


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