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君がいる風景

第4章 散歩


馴染みの和菓子屋さんで団子を買うと
奥からおやっさんが出てきてくれて
この秋の新作だって柿の実を模した和菓子を
差し出してくれた。

「すっごくきれいだね。
なんか食べるのがもったいないや」

「いや、菓子っのは美味って喰われることに意義が
有るんだ、だから喰え!」

「ますますじいちゃんに似てきたなぁ」

「あ、おやっさん。
こいつ俺の友達で櫻井翔っての。
この街に引っ越してきたばっかでさ
今、案内してやってんだ」

「さと坊のお友達かい、なんにもない静かな
街だけど、住み良いところだよ。
また来てくれたらサービスするよ」

「あ、ありがとうございます。
これからよろしくおねがいします」

肉屋ではコロッケ、弁当屋はから揚げ
八百屋ではさつま芋を貰った。
ガキの頃からの馴染みのある店は声をかけると
どこも気さくに話しかけてくれてきたりする。

翔ちゃんは本をよく読むって事で図書館まで
歩いていった。
少し距離はあったけど
ガキの頃の思い出話とかしてたら案外時間なんて はやく感じて
もう何年、何十年も来たことがないこの町の空間に
久しぶりに足を踏みいれたんだ。


パソコンで本を検索できたり、
DVDを鑑賞できるブースが出来てたり
久しぶりの図書館はずいぶん様変わりしてた。



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