君がいる風景
第1章 落とし物
マジで?!
奇跡じゃね?
よっしゃぁぁぁあ!!
けどいったい誰がこんなところに置いててくれたんだ?
ともかく感謝でいっぱいだ
もう一度祠のまえに立って深々とお辞儀をして
手を合わせておいた。
どこかの気のいい誰かが拾っててここに置いててくれてたんだろう。
もし、自分が朝の忙しい出勤時間に落ちてる鍵を
見つけたとしても
たぶん見なかったことにするだろう。
とにかくありがたい
手を合わせながら拾ってくれて相手のことをいろいろ思い廻らせてみたりする。
「やっぱ、合い鍵作っておかねえとな」
ガキのころから通ってる馴染みのじいちゃんがやってる自転車屋へと走らせる。
子ども頃には町内にも何店舗かあったが
ネット通販、大型販売店などの隣接でどんどん町中の自転車屋は閉店していって
今ではこのじいちゃんの店くらい。
免許を持たねえ俺にとっては自転車が動力であり
移動手段で生活する為の必需品。
自転車の手入れとかもけっこうマメにしてるほうだと思ってる、
気がつけは最近お気に入りの曲を口ずさみながら
軽快な足取りでペダルを漕いでた。