君がいる風景
第5章 夕飯
「すっごく立派なお家だね。」
「まあな。無駄に広いから掃除するときゃ
たいへんなんだぜ。」
「ふふ、だろうね。部屋の中すこし見て回ってもいい?俺んにちは和室がないから見てみたいな」
うれしそうに俺の後ろをくっ付いてくる翔ちゃんに部屋を見せてまわった。
本間造りの20畳の広間の正面には仏壇があって
一応、朝晩手を合わせるようにはしてる。
「あ、智くんお仏壇に手を合わせてもいい?」
「おっ、ああ。」
金箔が剥がれてる古ぼけた仏壇の扉を開けて
並んだ位牌を目にしてから、
深々と頭を下げて手を合わせてくれる。
「翔ちゃん、ありがとな」
「おじいちゃんとお父さんに初めましてって
挨拶してこれからもよろしくお願いしますって
図々しくお祈りしちゃった」
いたずらっぽい瞳ではにかみながら
立ち上がって縁側から庭を眺めて声をあげてる。
俺はまめに手入れなんてしねぇから
夏場にのびた雑草のせいて鬱蒼とした状態の庭。
隣は俺が普段使ってる部屋でテレビなんかはここにあって飯も大抵この部屋で食ってる。
廊下を挟んで向かいに台所
その横にはタイル張りのでっかめの風呂とトイレ。
玄関はいって反対側にある客間は今は使ってねぇ
部屋で釣り道具や画材道具やらの趣味のものを
いろいろ放り込んでて完全に物置状態になっていた。