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君がいる風景

第6章 自覚


「こっ、…こんばんはっ……はぁはぁ…はぁ」

店の奥から聞こえてくる笑い声
おばちゃんのおっきな声に混じって翔ちゃんの声
も聞こえてきた。
走ってきたかずが勢いよくぶつかってくる。

「智兄っ本当にごめんっ!!俺っホントに
勘違いして……ごめんなさいっ」

「おめえなぁ、謝る相手が違うだろうが!
俺じゃなくて翔ちゃんにだろ?」

「智くんっ、おかえりなさい!
お仕事ご苦労様。もう、ニノの誤解も解けたからね。今おばさんとニノに料理を教えてもらってたんだ。」


変速ギア付きの自転車に不慣れな翔ちゃんが
チェーンの音が気になって自転車屋で見てもらおうとしてくれたんだ。

その時、たまたま店番をしてたかずが
俺の自転車だって気が付いて不審に思って翔ちゃんにいろいろ失礼なことを訊ねたらしい。
それを確かめるように俺の携帯に店から電話を
してきたってのがことの顛末。

翔ちゃんの電話も同じ内容だったそうだ。

メールで心配しないでってメッセージも送ってくれてた。

結局休み前セールをする肉屋には行けず仕舞い
だったらしくて、かずのかあちゃんがおわびにってすき焼きをごちそうしてくれることになって
今その支度をしてる最中だそうだ。




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