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君がいる風景

第6章 自覚



「かずって勉強できる奴だったんだな」

「智兄とは、できが違いますからっ
あ、翔ちゃんこんと2年生の知り合い紹介してね」

「うん、分かったよ。」

「かずっおめえさ、知り合ってすぐに翔ちゃん
呼ばわりとかタメ口とか図々しくねぇか?」

「そう?普通でしょ。」

ガキの頃から口達者なこいつに何度やり込められたことか。口ベタな俺はつい頭を小突いたりして
最後には俺がかずを泣かせたって
かあちゃんにゲンコツくらってたっけ。


「俺は呼ばれ方とか気にしないよ。
中高で上下関係の厳しい体育会系だったから
自分からくだけるまでには時間がかかるかな。
だから智くんや、ニノのほうから
翔ちゃんって呼んでくれるとすごくうれしい」

翔ちゃんも楽しそうに微笑みながら箸をすすめてる。


「でしょでしょ!」

「かずっおめぇ調子に乗ってんじゃねぇぞ」



始終笑いの絶えない時間だった。
じいちゃんに焼酎をすすめられたけど、さすがに
遠慮して、腹一杯になって帰ることにした。



すっかりごちそうになって自転車屋を出る頃には
かなり冷え込んで吐く息が白くなってる。

翔ちゃんちまで
自転車を押しながら2人並んで歩いていく。


「さみいなぁ。」

「ほんと、風も強くなってきてるしね」

「じいちゃんの焼酎呑んどきゃあよかった」

「ダメだよ、自転車も飲酒運転になるんだって
あ、ちょっと待ってて」


いきなり駆け出す翔ちゃんがいた。


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