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君がいる風景

第6章 自覚



「じゃあ、また明日な」

「うん、智くんも気をつけてね。」

「ああ、翔ちゃんおやすみ」

「おやすみなさい」



胸の奥がどうしようのないほど熱くてたまらない


かずんちのすき焼きのせいでも
ホットココアのせいでもない

狂おしいくらいの灼熱的で情熱的な熱さ



鈍感だと自覚のある俺でも気付いちまうくらい

俺は翔ちゃんに恋心を抱いてるんだ


ココアを手渡してくれた時
マフラーを巻きつけてくれた時にも

俺のことを真っ直ぐに見つめてくれて
優しく微笑みかけてきてくれる翔ちゃん


いつだってそばに居てほしい
いつだってその笑顔の先に俺がいたい
翔ちゃんのことめっちゃ抱きしめてぇ


そんな強い衝動が込み上げてきたんだ。





翔ちゃんと別れて坂道を登る手前で思い直して
もう一度来た道を引き返して
自転車置き場の横のちいさな祠の前までやって来た。




首元には翔ちゃんのやさしい香りとぬくもり
さっき翔ちゃんが買ってくれた同じ自販機で
同じココアを買って御供えする。


手を合わせて
自分の中で自覚した翔ちゃんへの想いや感情を
うまく表現できないまま
縋るような気持ちで吐き出さずにはいられなかった。


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