君がいる風景
第7章 嵐の夜に
扉の前、バッグから取り出したカギ。
ふるえる指先でうまく差し込めない翔ちゃんに
代わってカギを開けて中へ入った瞬間
窓の外で光った強烈な稲光りとどでかい落雷の音
縋り付いて泣き出す翔ちゃんをつよく抱きしめた。
玄関先でずぶ濡れのまま
俺の胸元に顔を埋めてふるえてる翔ちゃん
雨で濡れた髪から甘い香りが鼻腔をくすぐってくる
「翔ちゃん、俺のこと見てっ」
「…ふ…ぅう…さと…く…ぅ」
濡れた瞳を潤ませながら見つめてこられてと
押し殺してた気持ちが言葉となって咽喉の奥から
飛び出てしまう
「翔ちゃん好きだ。
俺、翔ちゃんが好きなんだ」
「っ…うっ…くっう…んん…んふっ…」
勢い余っての告白
考えるより先に言葉が溢れてしまった。
翔ちゃんから何か言われるのがこわくて
強引にくちびるを押し付けてきつく抱きしめながら
キスしてしまう。
鳴り止まない雷
暴れて離れようとする翔ちゃんの頭を押さえ込んで角度を変えて何度もキスした。
「翔ちゃん…好きだ…好きだよ
逃げないで…恐がらないで」
「っふぁ…さと…んん…さとし…く…ん……」
雷に怯えてた翔ちゃんにやっと声が届いた
潤ませた瞳の真ん中に俺だけが映ってる。