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君がいる風景

第7章 嵐の夜に


勢いと強引だったキスを詫びてから
もう一度ちゃんと名前を呼んで好きだよって
伝えてキスをする。

そっと舌を差し込めると、遠慮気味な動きでも
絡まってくる舌、
翔ちゃんの両腕が首に巻きつきながら抱きついてくる
翔ちゃんの鼓動が胸に直に伝わってきた。

このままずっと離れたくなくて

でも、玄関先で濡れたままの状態でいると
2人とも風邪を引きかねないって判断してゆっくり
くちびるを放すと
翔ちゃんがずるずると膝から崩れ落ちていく。


「しょ、翔ちゃん大丈夫?ごめんな歩ける?」

「っふっ…ぅ…智く…だめっ…ぅ…
力が……はいん…ない」

脱力と弛緩が一気に身体を襲ったのかへたり込んで放心状態の翔ちゃん
靴を脱がせると抱き抱えて部屋まで運んできた。

照明が付かないってことは落雷のせいの一時的な 停電が考えられる。
そっと身体を下ろしてあげてから携帯の灯りを
頼りに窓のカーテンを閉めて
洗面所までいって
バスタオルを持ってきて翔ちゃんの頭から包んであげた。


「着替えなきゃ。翔ちゃん服どこ?」

「クローゼットに…智くんも…濡れて…
ひぃっ!!」

ふたたび鋭い稲光と怒号のような雷鳴


とりあえずハンガーにかかってたシャツを手にして
背中を丸めて震える翔ちゃんを抱き起こして
濡れた服を着替えさせていく。





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