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君がいる風景

第8章 告白


とまどいながら見せてくれる微笑み

昨夜の、雷の恐怖で辛そうだった顔はどこにもない
抱きしめると、吐息が感じるくらいの距離



「翔ちゃん、キスしていい?」

「智くん……」


脳内に響き渡る祝福の鐘の音
っていってもお寺の釣り鐘じゃなくて
教会の鐘の音みたいなしあわせの響き



昨日は暗がりの中でだった
朝の陽射しの下で
閉じた睫毛の長さ、色づき始める頬
ぽってりと潤んだくちびるのやわらかな感触を
確かめるように重ねて
吸い付いてみると吸いつくようにあまいくちびる
の味がする。


なるべく優しく舌を差し込んでみると
翔ちゃんの舌先がたどたどしく触れてきた。
すこしきつめに
吸うと鼻から抜けるあまい吐息が漏れる、



抱きしめると翔ちゃんの両手もしっかり抱き付いてくれる。

俺が初めての恋人で
翔ちゃんにとってこれが初めての恋愛

すごく大事にしたいって気持ちなのに
肉体の本能的反応はまた別次元なのかジワジワと 下半身に集約されだす血流


やべえ…


長すぎるくらいくちびるを味わってから
すこし離れて翔ちゃんの顔を見ると、
湯気でもあがりそうなほど
赤く色づいてて、目許が蕩けるみたいな
チカラの抜けきったかわいい顔で俺を見つめて
くれてる。

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