君がいる風景
第8章 告白
「翔ちゃん、大丈夫?」
「ん…っぅん……」
「んじゃ、俺そろそろ帰るわ。
翔ちゃん今日はバイトは休みだったよな?」
「…うん、今日は講義が夕方まではいってる」
「そっか、じゃあ頑張ってな」
「智くんも…あ、待って」
まだ生乾きの俺のジャケットとシャツを
洗濯しててくれるって言葉に甘えることにして、
翔ちゃんのシャツとジャケットを借りて自宅に
戻ることにする。
マフラーを巻いてくれるきれいな指。
玄関先まで見送ってくれるから
また抱きしめたくなってきたけど、
さすがに今度は手を握るだけにしておいた。
ここが俺たちのはじまりの場所
「じゃあまた、メールするな。」
「うん、今日も頑張って」
台風一過のような爽やかな朝の空気。
すんだ空気が白んできてて、まぶしい太陽を呼んで
くれてるみたいだ。
自転車のペダルがやけに軽く感じて
どこか、羽根でも生えてるんじゃあってくらい
身体もこころもふわふわしてる。
恋のはじまりってやつが
こんなにも胸が踊るもんなんだと改めて知った。