昭和回想録
第2章 少女・美幸
中学生と2人っきりの古本屋の店内。
ミスマッチな組み合わせが怪しい雰囲気をかもし出す。
先ほどまでの中学生の態度に憤慨していたが
落ちた今は怒りはない。
ただ、湧き上がったエネルギーはそのままだ。
その増大したエネルギーは向きを変えようとしている。
そう。
素直になった中学生に対してだ。
しかも淫靡な・・・。
俺は、中学生を調べなくてはいけない。
俺が預かっている店で万引きをしたのだから。
俺は紙とボールペンを渡し、名前と住所を書かせた。
相手の素性を知ることは再発を防止することにもなる。
書かれた紙を見ると、中学生の名前は篠原美幸。
住所は、この近所だ。
学生証を出させ、間違いのないことを確認した。
「お願いです。許してください。」
「もうしません。誓います。」
「警察や学校や家には連絡しないで下さい。 」
美幸は万引きした本をカバンの中から出し
泣きそうになりながら哀願する。
美幸の泣きそうな顔をみていると、多少、情が出そ
うになるが、俺はあくまでも冷静を装った。