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罰ゲームの始まり

第1章 罰ゲーム

このまま田仲を騙すのは、辛かった。
罰ゲームで告白したことを黙ってるというのは、どうでもいい。

きっかけは罰ゲームだったかも知れないけど、今はそんなことを考えていない。

騙し続けたくないのは、島津先生の方だ。

言わずにいつか田仲に知られるより、俺の方から言ってしまおう。
もちろんある程度の嘘は混ぜるけど。

初めからヤリ捨てするつもりだったこととかは言えないが、付き合っていたけどすぐ別れたくらいの話しはするべきだと思った。

「あのさ、田仲。実は--」
「まだ帰らなくても大丈夫だよ、私……」

きゅっと田仲が俺の手を握り返してきた。

心臓を素手で握られたかのような圧迫を覚える。

「そ、うなんだ……」

見上げてくる田仲の顔は、それまでと違う艶めかしさがあった。

今まで何度も見てきた、女が俺に初めて身体を許す覚悟が出来たときの表情だった。

馬鹿な俺は駅とは違う繁華街の方へと向かって行く。

どこに何というホテルがあり、どこが一時間いくらかまでしっかりとマッピングできているその一角へと、田仲を導いていった。

適当な女と行くホテルよりグレードの高いところを選ぶ。

ホテルの門をくぐるときも、田仲は少しも躊躇する素振りは見せなかった。

緊張と興奮が血液の速度を速め、その勢いで血管に摩擦が起こり、血の温度がどんどんと上昇しているように感じた。

こんなに気が動転するのは初めてラブホテルに来たとき以来かもしれない。

手を握ったまま、俺は部屋のドアを開けた。

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