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罰ゲームの始まり

第1章 罰ゲーム

「俺、田仲のことが好きなんだけど……」

相手の様子を伺いながら嘘の告白を切り出した。

一秒、二秒、三秒……

空白の時が流れる。

田仲は感情を持たない生き物のような目つきでジッと俺の顔を見続けていた。

無言の時間にむしろ俺が気圧されてきた。

「……それで?」
「へ?」
「続きは?」

今まで返されたことのないリアクションをされ、言葉を失った。

「終わりなら帰るけど?」
「ちょっ、待てよっ!」

慌てて手首を掴んで引き留める。

田仲は相手を凍らせる呪いのような視線を握られた手に向けた。

「離して」
「田仲の返事を聞かせてくれよ」
「離してって言ったの。私合気道してるから本気でやったら四ノ原君怪我するよ?」

合気道の脅しが怖かったわけじゃないが、嫌われたら意味がない。
俺は慌てて手を離す。

「返事って、なに? 四ノ原君が私に好意を持ってることは理解した。でも私の返事って?」
「え、だから、その……田仲はどう思ってるんだよ?」
「四ノ原君のこと? そりゃ嫌いだよ」

バッサリいきましたねー、田仲千夜さん……

「ろくな噂聞かないもの。色んな女の子を泣かせたことやら夜な夜な不良行為で遊び歩いてることとか。私そういう人、大嫌い」

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