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罰ゲームの始まり

第1章 罰ゲーム

その夜のグループトークは祭り状態だった。

『うえーっ!?四ノ原マジで田仲とデートすんのっ!?』
『まじかー。勇者だなww』

『お前らが煽ったくせに散々な言われようだな』

好き勝手盛り上がるこいつらに殺意が湧く。

『田仲今ごろオナってんじゃね?四ノ原くぅんっとか言ってww』
『ぜってー人生初コクられだろ、あの眼鏡女』

なんだろう、こいつらに茶化されると異常にムカつく。

『あいつそんなに舞い上がってねぇし。ちょっと馬鹿にし過ぎ』
『おおーっ!彼氏さんに怒られたww』
『彼氏さん、サーセンww』

ムカつくけど俺もこいつらのことを言えたもんじゃない。
今日初めてあいつと話すまでは似たようなこと思ってたし。

『うっせーwwとにかく一回デートしたら終わりだからな、罰ゲーム』
『いやいや。末永くお幸せに』
『結婚式には呼べよな!』

こいつらの悪ノリに付き合える気分じゃなかったので適当に切り上げる。

机の中にあった去年の体育祭の写真を引っ張り出して一枚づつ確認した。

「あっ……あった……」

俺たちが撮った写真の端っこの方に見切れるように田仲が映っていた。
今まで気づきもしなかったが、確かに映っている。
しかも田仲の視線は気のせいかも知れないが俺に向けられていた。

運動着が果てしなく似合わない眼鏡をかけた雪女を見て、俺は自然に口許を緩めてしまっていた。

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