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罰ゲームの始まり

第1章 罰ゲーム

今日のデートの時間とか待ち合わせ場所はあいつらには言ってない。
言ったら絶対見に来て冷やかすからだ。

しかし言わなかったことを、少し後悔していた。

こんなに可愛い田仲を見せてやれなかったんだから。

俺はスマホを翳し、田仲の肩に腕を回した。

「えっ……えっ……」
「ほら、田仲。撮るぞ!」

パシューンっ……

間の抜けたシャッター音と共に驚いた田仲の顔がスマホの画面に固定される。

「もう。いきなりそう言うの、やめて欲しい」
「ごめん。田仲が可愛かったから、つい……」
「つい、じゃないよ。四ノ原君のそういうところが苦手」
「悪りぃ……怒った?」
「……素直に謝るところは、まあ、嫌いじゃない……」

照れたような口調だけど顔は無表情。

何となく田仲の言動と性格が分かってきた。
こいつは感情が顔に表れないだけで、ちゃんと怒ったり喜んだり照れたりしてるんだ。

そういうところがなんか可愛く感じてきた。

「じゃ、行こっか」

手を握ろうとしたら田仲はびくんっと慌てて手を引っ込めた。

「さすがに手を握るのはまだ早かったかな?」
「当たり前。そういう軽そうなところが」
「嫌いなんだろ? そうはっきり言うなよ。一応凹むんだぜ、こんなチャラそうな男でも」

別に冗談を言ったつもりはなかったが、ぷっと田仲が吹き出す。

てか初めて笑ってくれた?

結構いい顔で笑うじゃん、田仲。

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