不思議の国のアリス
第2章 ♠︎
由紀は、正面から二足歩行で歩いてくる子豚を凝視しながら、そして時折周囲を見渡しながら歩く。
周囲の人々は子豚には目もくれず通り過ぎていく。本当に見えていないのか。
おかしいだろ。
いや、お前の頭がおかしいんだろと心の中でツッコミを入れる由紀。
よく見たらレトロステッキを左手に持ち、首には黒いチョーカーをつけていた。
随分、洒落た豚だ。
とそこで、子豚がぴたりと白線の上で足を止める。それが唐突だった。まるで正面から歩いてくる誰かの姿を捉え思わず足を止めたという感じだ。
何で止まったんだろう。
気になった由紀は、足を止めていた。その横を通行人がすり抜けていく。
あれ.....見られてる?
いつに間にか子豚にまじまじと顔を見られている事に気付いた由紀は、気まずくなって視線を逸らした。
子豚(幻像)が自分を見つめてくるなんてそんな馬鹿な事はない。
さぞ通行人の邪魔になっているのでそろそろ歩くのを再開させようとした時だった。
「ぶう。」
由紀は驚愕のあまり目を大きく見開いた。
なんと、子豚が自ら話しかけてきたのだ。一体全体、私の頭はどうなってしまったのだ。
「ぶう!ぶう!ぶう!」
再度、子豚が話しかけてくる。
その瞬間、由紀は思った。
こういう可笑しな場面に直面した時に取る行動は一つだけ。
逃げよう。
一目散にバス停に向かって走り出した。
耳鼻科にも行かなくては。
やれやれ、しっかりしてくれ自分!
まだ20代だろ!
自分を心の中で叱咤しながら、全速力で点滅中の歩行者信号機の横を通過した。
周囲の人々は子豚には目もくれず通り過ぎていく。本当に見えていないのか。
おかしいだろ。
いや、お前の頭がおかしいんだろと心の中でツッコミを入れる由紀。
よく見たらレトロステッキを左手に持ち、首には黒いチョーカーをつけていた。
随分、洒落た豚だ。
とそこで、子豚がぴたりと白線の上で足を止める。それが唐突だった。まるで正面から歩いてくる誰かの姿を捉え思わず足を止めたという感じだ。
何で止まったんだろう。
気になった由紀は、足を止めていた。その横を通行人がすり抜けていく。
あれ.....見られてる?
いつに間にか子豚にまじまじと顔を見られている事に気付いた由紀は、気まずくなって視線を逸らした。
子豚(幻像)が自分を見つめてくるなんてそんな馬鹿な事はない。
さぞ通行人の邪魔になっているのでそろそろ歩くのを再開させようとした時だった。
「ぶう。」
由紀は驚愕のあまり目を大きく見開いた。
なんと、子豚が自ら話しかけてきたのだ。一体全体、私の頭はどうなってしまったのだ。
「ぶう!ぶう!ぶう!」
再度、子豚が話しかけてくる。
その瞬間、由紀は思った。
こういう可笑しな場面に直面した時に取る行動は一つだけ。
逃げよう。
一目散にバス停に向かって走り出した。
耳鼻科にも行かなくては。
やれやれ、しっかりしてくれ自分!
まだ20代だろ!
自分を心の中で叱咤しながら、全速力で点滅中の歩行者信号機の横を通過した。