不思議の国のアリス
第2章 ♠︎
ぜいぜいと息を切らしながら、視界の先に市営バスが見えた。
まだ発車時刻になるまで待ってくれているのか、無人のバス停に留まってくれていた。ラッキーだ。
バスに飛び乗るように乗車する。
窓際の後部座席の二人席が空いていたので、由紀はどっかりと腰を下ろした。
座った瞬間、全力疾走した疲労が押し寄せてくる。
そして疲労と共にやって来た心地よい眠気。一瞬、喋る子豚の事が脳裏をよぎった。
由紀の方を向いて喋っていた。
ぶうだけだったが。
ぶうしか聞こえなかったけど、ぶう以外にも喋れるのだろうか。
由紀は馬鹿馬鹿しくなって考える事を放棄した。
扉が閉まりますというアナウンスが入り、扉が閉められバスが発車する。
既に瞼が重く、後ものの数分で寝てしまうだろうと思った彼女は、熟睡モードに入る為にサイドガラスに頭を傾けようとした。
悲鳴を上げそうになった。
「ぶうぶう!ぶうぶう!!」
なんと先程の喋る子豚が短い手足を懸命に伸ばしてサイドガラスに張り付いていたのだ。
そして、ぶうぶうと何かを由紀に訴えているようだ。
落ち着け、自分。
あれは幻像、あれは幻像。
彼女は必死に自分に言い聞かせた。
兎に角、見ない聞かないに越したことは無い。そして可能な事なら席を移動した方がいいと思った。
現実と幻覚の判別がつかなくなっているなんて、誰がどう聞いても完全に精神科行きである。
「ぇえええええ!」
そして事件は窓から起こった。
まだ発車時刻になるまで待ってくれているのか、無人のバス停に留まってくれていた。ラッキーだ。
バスに飛び乗るように乗車する。
窓際の後部座席の二人席が空いていたので、由紀はどっかりと腰を下ろした。
座った瞬間、全力疾走した疲労が押し寄せてくる。
そして疲労と共にやって来た心地よい眠気。一瞬、喋る子豚の事が脳裏をよぎった。
由紀の方を向いて喋っていた。
ぶうだけだったが。
ぶうしか聞こえなかったけど、ぶう以外にも喋れるのだろうか。
由紀は馬鹿馬鹿しくなって考える事を放棄した。
扉が閉まりますというアナウンスが入り、扉が閉められバスが発車する。
既に瞼が重く、後ものの数分で寝てしまうだろうと思った彼女は、熟睡モードに入る為にサイドガラスに頭を傾けようとした。
悲鳴を上げそうになった。
「ぶうぶう!ぶうぶう!!」
なんと先程の喋る子豚が短い手足を懸命に伸ばしてサイドガラスに張り付いていたのだ。
そして、ぶうぶうと何かを由紀に訴えているようだ。
落ち着け、自分。
あれは幻像、あれは幻像。
彼女は必死に自分に言い聞かせた。
兎に角、見ない聞かないに越したことは無い。そして可能な事なら席を移動した方がいいと思った。
現実と幻覚の判別がつかなくなっているなんて、誰がどう聞いても完全に精神科行きである。
「ぇえええええ!」
そして事件は窓から起こった。