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押忍!!

第1章 押忍!!

 しまった……それが逆に、特別な目で見られるためのコントロールを促していたんだ……。

 だから、先輩は僕を愛しい目で……。

 だけど、後は僕も嘘で誤魔化し通すしかない。

「神鳥さん、僕はまず一生懸命空手を頑張って、必ず期待に応えられるように頑張ります」

「いや、空手に関しては、あまり期待していない」

 え……そこは「そうか、わかった頑張れよ」でしょ!!

 なんか、それはそれで複雑なんですけど……。

「だが、北都。お前の気持ちはわかった。お前は俺の受験を心配してくれてたんだな」

「もちろんです」

「よし、なら、こうしよう。俺は1年浪人する。そして、お前と同じ大学を目指そう。同じ学校で、同じ1年だ。これなら、先輩後輩関係なく付き合えるだろ」

 このゴリラ、とんてもないことを言い出した。

 なんてことだ。このゴリラが卒業したら、すぐに連絡を絶って、自分は違う学校に進学しようと考えていたのに……。

「え……神鳥さん、いいんですか? そんなことしたら、周りが……」  

「なにを言うか。お前だって、俺と一緒にいたいんだろ?」

 ゴリラを飼う趣味はない!!

 なに言ってんの?

 ゴリラはゴリラ同士密林で出会ってくれよ!!

 完全に失敗だ。いい気にさせて、受験を頑張らせようとしたんだが、裏目に出た。

 僕は本当に思った。いま、ここに苦しまずにすむ毒があればいいのにと……。

 僕が飲むよ。

 このゴリラが飲んだって、ラーテルみたいに体内で免疫力をつけるに決まってる。

※ラーテルとは、見た目スカンクみたいな動物。毒に強いらしい。

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