テキストサイズ

押忍!!

第2章 押忍2

 目に涙が浮かんでくる。悲しいわけじゃない。怖いからでもない。目の痛みからくるものだ。

 スプレーで目がジンジンしていたが、ある程度涙が流してくれた。

 なにか、部屋のようなところに入ったようだ。

 私は、体を押され、柔らかいところに座らされた。

 まさか、ベッド?

 足首に、なにか巻かれている。動かないようにするため?

「私をどうするの?」

「さあな、楽しみにしておくんだな兄ちゃん」

 兄ちゃん……まあ、今まで兄貴やら親分とか言われたから、まだマシかもしれないけど、せめて姉ちゃんだろ。容姿を見たら、言えなくなるのか?

 剥ぎ取られるように、目隠しがはずされた。

 眩しい。すぐには目が開かなかった。

「ほう……泣いているのか? 怖いんだな?」

 私は頷いた。

 嘘だよ!! 怖くて泣いたんじゃない!!

 目が痛かったんだよ!

 私はようやく開いた目で、辺りを見回した。

 どこかの部屋?

 ベッドに座らされている。そして、前にいる男……誰?

 目は小さく、髪はおわんを被ったようなスタイル。30代くらいの、中肉中背で、ハッキリ言って私のタイプではない。

 ベッドの端には、もう一人の男。こっちは若い、高校生くらいか? 上下赤いジャージに、手には、関西で馴染み深いお菓子「おにぎりせんべい」の袋。なるほど、私の背中に当たってたのは、あの袋のギザギザだったんだ。

 目の前のおかっぱが、なにやら電話で話し始めた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ