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押忍!!

第1章 押忍!!

 道具入れと言っても、部室のすぐ横。6畳ほどあるだろうか?

 マットやら、サンドバッグ、使いふるされた道着、プロテクターが散乱している。

 何度か開けたことはあるが、ホコリやカビの匂いがするため、中には入ったことがなかった。

 僕がやって来て、すぐ先輩が学生服のまま入ってきた。

「来たか、北都」

 北都(ほくと)とは、僕の名前だ。フルネームは北都晃(ほくとあきら)。

 先輩は体が大きく、頭は短い角刈りというか、五分刈り。空手よりも柔道をしているような風格だが、性格上、柔の道は似合いそうにない。

 頭は市川海老蔵を真似ているらしいが、どう見てもガリガリくんだ。

「北都、最近よく頑張ってるじゃないか。体格もよくなってきたんじゃないか?」と先輩は、僕の腕を触ってきた。

「あ、そうですか? 自分じゃ、わからないんですが……」

 たしかに、ほぼ毎日腕立て伏せや腹筋等の基礎トレーニングを続けていれば、入部当時とは比べものにはならないだろう。だけど、まだ空手をやるには力が足りない。

「ところで神鳥さん、どこを片付けるんです?」

「うん、まあ、あわてるな」

「はい?」

 意味がわからない。

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